効率が10倍アップする新・知的生産術(勝間和代)

 なんで勝間氏の本は、他の本と比べてひきつけられるのかをまとめてみる。
1、動機付けがしっかりしている。
2、かなり具体的
3、すぐにわかるまとめ
4、斬新な視点


1、動機付け
 「お金は銀行に預けるな」や著者の他の本でも感じていたのだが、動機付けにかなりのページをつかう。これが、著者以外の本との大きな違い。今回の本は、一種のノウハウ本であるのだが、ノウハウだけまとめるということは絶対しない。ノウハウを使う環境をイメージさせることにより、提示しているノウハウがより有効に感じられる。動機付けという、人間の核を刺激するように書いているため、ひきこまれてしまう。


2、かなり具体的
 自分の体験談を具体的にまとめていることはもちろんのこと、巻頭巻末などには、実際につかっているモノまでを具体的にビジュアル化している。人は、視覚からはいる情報の比重が高いため、その情報が文字でなくビジュアル化されていると有効である。故に、巻頭巻末などの写真は、人をひきつける。
 また、中で紹介している、本、ブログ、人、HPが具体的であり、量が多い。本を例にとれば、勝間氏自身が月に15万円本に投資するほどの読書家(読書家の域を超えてるが。)である。そのため、勝間氏の本の中には、様々なジャンルのかなりの量が紹介されている。主観であるが、読書をしていておもしろいなと感じるのが、本と本がどんどんつながっていくときである。一冊の本を読むと、たいてい何冊か引用やら紹介されている。そして、その本は読みたくなる。こうやって新しい本につながっていくのは、読書のひとつの楽しみであり、その楽しさを感じさせてくれる。そして、情報があふれている時代において、どの本を選択するかというのは、悩みどころである。その悩みに対して、道をひいてくれるところにひかれる。
 そして、本を紹介することで、自分の言ったことを実践している点が伺える。というのも本著の中でgiveの5乗という、情報管理のうえで重要な考え方がまとめられているが、読者に対しても、読むべき本を推薦してもらえれば良い本に出会えるし、推薦された著書にとっても自分の本が紹介されていることでプロモーションになる、勝間氏自身も紹介することで、つながりが生まれるわけで。みんながハッピーなのである。


3、すぐにわかるまとめ
 全体の構成とも言えるのであるが、全体が、そして各部分が、論理的に構築されている。そうすることにより、読みやすさはもちろんのこと、理解度も深まる。著者自身も整理し、組み立てるところが、自分の得意なところであると言っていて、得意なことに集中するということを実践している現れである。


4、斬新な視点
 今回の本では、そこまで感じることはなかったが、お金は銀行に預けるなで感じたことは、新しい視点を提示してくれる点があげられる。金融リテラシーの必要性をワークバランスを交え少子化問題につなげている点や、お金をどこに預けるかが、ひとつの国民の意思であり、それが政治にもつながる。こういった視点は、斬新であり、時代にマッチしているため魅力的でひきつけられる。また、著者のブログで語っていたのだが、本を売るということに関して、本を出すだけでなく、しっかりと売ることが大切だとい言っていた。たしかに、そこは、物書きにとっての盲点だと思う。こういった、新しい視点を提供してくれる点にひかれる。


 あげればキリがないが、読者がひきつけられる要素は、つまり売れる要素である。著者は、自身のブログで本が売れる要素を考えている。その際には、書き手としての要素をまとめている。著者自身の本に関しては、読者が、売れている要素をまとめるしかない。だから、厚かましいようではあるが、読者側の視点は、どんどん提供していくべきであろう。そう思わせてくれるくらい、Giveがいっぱい詰まっている一冊である。