芸術起業論(村上隆)

芸術起業論

芸術起業論

 浪人時代に村上隆氏と海洋堂さんとの企画でだした食玩をコンビニでみて以来、はまっている。普段は、食玩なんかみないのにそのときはたまたま、目についた。浪人時代でカネもないのに、買いあさった。買う理由がよくわからなかった。村上隆という人がすごい人でいま買っておけばあとで儲かるかもという安易な考えもあったのだが、それでも他になにかひきつけられる要素があった。それからGEISAIに行ってみたりしたが、村上隆という人に関する情報が枯渇していた。
 そんなこんなで、この本に出会う。そして彼は自分のローモデルだと再確認する。彼の壁のない世界的な視点や、本質を捉える考え方、そして生み出される作品が僕を刺激する。日本でいう芸術は、非言語(ノンバーバルコミュニケーション)を非常に重要視する。言葉で言い表したら即刻、にらまれるような感じの風土である。これは、日本の以心伝心の風土から生まれているのであろう。だが、世界の芸術は違うのだ、という村上氏の日本の切り捨てかたは気持ちがいい。正確に言えば、以心伝心だけではないですよとでも言えばいいのであろうか。
 芸術は時代を写す鏡であると言われている。いまの時代は、資本主義である。そして、お金という要素は欠かすことができない。いい作品をつくるだけでなく、売れる仕組みをつくる。その作品自体が良いということは最低条件でり、作品における付加価値が大事という主張は、現代を明確にとらえている。芸術というと経済とは関係ない、推敲された場であると考えられがちである。だが、資本主義のなかの一つのマーケットとして成立しているのをみると、彼の主張は、ビジネスにも通ずる点が多々ある。 

カイカイキキ
・聞いたことないけど、村上隆に触れるひとつの機会:エフエム芸術道場
・観に行きたい:村上隆回顧展 MURAKAMI