原稿用紙10枚を書く力(齋藤孝)

原稿用紙10枚を書く力

原稿用紙10枚を書く力

以前、読んだことがあるのだが、卒論を書かなくてはいけなく、再度読んでみた。
読書についてと、書くことについて言及しているところが印象強い。
読書について言えば、

・どうやって書いたのだろうと想像しながら書くことが、いちばん理解が進む。
・アウトプットを意識すると、より上質な読書ができる。

主体的な読書をこころがけている。
読書で得たことを使う意識で常に読むようにしようと強く思う。

書くことについて言えば、

・まず、自分の頭の中にある材料を全部紙の上に吐き出すのが第一の作業である。さらにその関連次項もどんどんメモして吐き出しておく。私はここでも三色ボールペンで優先順位をつけることをすすめる。つまり、書き出した項目に赤、青、緑の三色で線をつけて色分けしてみるのだ。まず書き出した項目について何がいちばん重要なのか、赤ボールペンを使ってマルで囲んでみる。赤線がついた項目は絶対に書き落としてはいけない重要な部分、青はできればいれたい部分、そして緑は自分の意見、主張などである。こうすれば、自ずから優先順位ができてくる。赤線は本であれば、「章」や「節」に当たる。青や緑は「小見出し」に該当する。本のように四百詰め原稿用紙で二〜三百枚という枚数になると、小見出しは六十〜百本という数になる。
・書くことにおいても、材料を準備し、下ごしらえをしておくことが重要である。
・書こうと思いついたら思考が白紙になってしまわない地点までの構想を、しっかりと形にしておくことがコツである。
・性格の違う三つのキーコンセプトを取り出して、その三つをつなげる論理を組み立てていく。
・実際に、書くときには、絶対にレジュメをつくらなくてはならない。レジュメをつくるとき、項目ごとに百文字以下でいいので、何について書かれる項目なのかを書き込んでおくことだ。
・レジュメができたときには、骨組みもでき、粗筋もできてしまう。全体が大まかにできれば、後はそこに栄養をやればいい。栄養とは。資料など、そこに組込みたいものだ。すでにどういう狙いで、どういう部分に使いたいかがはっきりしているので、資料を探すときも能率的になる。
・大事なのは、何が章で、何が節で、何が項目かというツリー状の大小の構造を間違えないことである。

書くことに関しては、まったくの素人である。
そんな自分にとって具体的な方法を説明してくれているのはありがたい。
最近、論文を書く上で、ロジックの重要性ばかりがきになっていた。
そうなると、帰納法的に考える方がいいのか、演繹法的に考えるほうがいいのかなどと考えていた。
どちらかと言えば帰納法的な頭の使い方の表現するには、わかりやすい。
ただ、コンセプトを考えるときなどは、演繹法的に考えた方がアイディアが浮かぶ。
よって、強く思ったことは、どちらか一方でなく、演繹法的の考えたコンセプトを帰納法的にまとめればいいのである。
そうして、最初から何もわかっていないとまずいが、ツリー組立て、資料を集めれば効率的である。

全体的には、

・すでに書かれていることを自分なりに変換、アレンジすることで、新たなものができる。
・変換やアレンジをするときには、自分のオリジナリティが自然にでてくるものだ。
・考える力があるかどうかが、その人の人生を大きく左右するようになる。これからは書く力をつちかって考える力を身につけることはますます重要となるのだ。
・「いきなり大きい絵を描こうとしてはいけないだ」と思い、まず小さい絵をたくさん描いて、それらを結合させていく方法に切り替えた。長い論文を一挙に書き上げようとするのをやめたのである。
・内容の質はともかく、量をこなした自信が次につながっていく。

論文を書くにあたり、「なにか始めてのものを」つまり、無から有をつくりだそうと強く考えていた。(そちらの方がすごいきがする。)
無から有をつくりだすこと、つまり、オリジナリティの重要性について敏感になっていた。
だが、マネをするとしても、そのマネをする対象には、絶対同じものにはならない、つまり、マネをしてもオリジナリティがでる。(全部マネはもちろんまずい。)
そう考えられるようになったことで、気持ちが楽になった。
そして、量をこなすということの重要性を新たに再確認した。