スタバではグランデを買え!(吉本佳生)

スタバではグランデを買え! ―価格と生活の経済学

スタバではグランデを買え! ―価格と生活の経済学

経済本としては、身近な例をだしながら消費者が一番気にするコストに視点をあてて書いてあるので、非常にわかりやすい。
以下、興味をもった点をまとめてみる。

「時間と労力(手間)、余分なおカネの支出、他の資産の使用、心理的負担」といったものが、買い物の代金とは別にかかるとき、それを取引コストと呼びます。買い物をふくめた様々な経済取引の際に、取引されるモノやサービスの代金とはべつかかるという意味です。

買い物をするときは、そのモノやサービスにかかるコストだけではない。様々なコストがある中のひとつであり、消費判断に影響をもたらす。

・裁定は、同じ時点で同じモノがちがう価格で売買されているときに、その価格差を利用して儲けようとする取引です。
・裁定が十分におこなわれれば、同じモノの価格は等しくなります。

価格差があるから、競争がうまれる。競争があるから市場が成り立つ。市場が成り立つのは、価格だけではないが、ひとつの要素である。

セブイレブンは、物流の効率を考えて、特定の地域に集中して出店するのです。これをドミナント戦略といいます。

コンビニが成り立つのも物流が効率的だから。物流コストを徹底的にカイゼンすることで、コンビニは成長してきた。

生産規模が拡大するほど、「1台当たりの生産コスト」が低下するという原理が働きます。規模の経済性と呼ばれる性質です。

固定コストがかかるハード品には、効果がよりでる性質である。シェアなどの重要性も規模の経済性に関係がでるだろう。

生産における経験の蓄積が平均コストを低下させるような製品もあります。その場合には。過去から現在までの累積の生産数量が大きくなるほど、平均コストを下げる効果が働くことになります。これを経験効果と呼びますが、

カイゼン活動などがでる効果であると考えられる。長期的にみた工場作業員の雇用もこれには、効果的になると考えられる。

2つの製品についての操作を覚えて持ち運ぶ必要があったのに、ひとつの製品だけで済むからです。これが範囲の経済性によるコストの節約です。<中略>複数の用途に使えるモノを利用することで、範囲の経済性が働いてコストを節約できるのはありがたいのですが、トラブルが一度に襲いかかるリスクも覚悟しなければなりません。

コストを需要視ことにより、トラブルがうまれることがるというのが、考え深い。リスク管理を考える必要性がでてくる。

・「高くても買う客にはできるだけ高く売りながら、一方で、安くないと買わない客には安く売る」<中略>経済学の専門用語では、価格差別とか差別価格と呼ぶ。
・携帯電話会社が多彩な料金プランを用意しているのは、多様な消費者に対して何とか価格差別をおこない、できるだけ多くの収入を得るためなのです。

価格差別に関しては、開発のときも20対80の法則で考えるうえで、富裕層にあわせた製品を開発する方が効率がいいというのを聞いたことがある。

・身につけることがむずかしい能力や技術を持った人たちがおこなう仕事は、確かに社会に大きな貢献をするけれども、それらの人たちがおこなう仕事を活かすためにも、単純でだれにでもできそうな仕事が大切な役割を果たしているのです。また多くの職場で、誰にでもできそうな仕事をきとんとおこなうことができる人は、じつは、求められている人数よりもずっと少ないのが実情です<省略>。
・「その仕事をすることで他の仕事がどれだけ犠牲になるか」で計るのです。このようにして図ったコスト機会コストと呼びます。
・比較優位を持つ(機会コストが安い)ほうに仕事を任せることで、全体の効率は上昇します。
・自分にどういった能力があるのか、自分の能力は本当は高いのか低いのかを、きちんと自己認識することは以外に難しいという点です。

比較優位うんぬんよりも、その時の、自分の身の丈にあったことをすることが、一番効果的であり、幸せなのではといいたのではと感じる。

壊れたデジカメは中古品としても売れず、したがって最初に支払った5万円は回収できないというときに、この5万円を埋没コスト(サンクコスト)と呼びます。合理的に行動したいなら、埋没コストはすでに消えてしまった価値として、きっぱりあきらめるべきなのです。

思い出などのコストはなんと言うのであろうか。

消費者は、ときに大部分の満足を機能から得ることもありますが、多くのモノやサービスの消費では、大部分の満足を感情から得ていると思われます。だからこそ、機能だけでみれば、栄養が摂取できればいい食事や、時刻がわかればいい時計や、体を包んでくれればいい衣服について、おいしいというだけで、あるいは、デザインがかっこいいというだけで、かなり高い価格を支払うのです。

いまの時代は、付加価値をどうするかだなと改めて認識する。付加価値でも感覚的なところ重要性が強まる。