学問のすすめ(福沢諭吉 岬龍一郎訳)

学問のすすめ―自分の道を自分で切りひらくために

学問のすすめ―自分の道を自分で切りひらくために

 はじめて読んだのは、大学1年のころだった気がする。大学にはいってみたが、何しに行っているのであろうと葛藤していた。そんな時学問の大切さを説かれたわけで影響力はかなりあった。その後、何回もことある事に読み返しているが、どんなときにも通ずるものがある。それはなんなのかと考えてみると、人間が生きるという行為が学問そのものであるからだと思う。人間は、生まれてから様々経験をしているが、その経験も言わば、学問ともいえる。人間として生まれたときからの唯一の使命は、学問をし、その後につなげることなのかもしれない。
 福沢諭吉は、何年もたった考えなど活用できないと言っているが、諭吉の根本にある思想は、みなが共有するべきものであると思う。そう考えると、小学生のころから、この学問のすすめを取り入れることは、人格形成において多いに役にたつと思う。それは、明治初期の混沌とした中で、日本人がアイデンティティを失いそうなところにおいて人格形成を手伝ったようにも感じるからである。
 自己満足せず、向上心を持ち続けさせる本として、すばらしい良書だと思う。