金融広告を読め(吉本佳生)

金融広告を読め どれが当たりで、どれがハズレか (光文社新書)

金融広告を読め どれが当たりで、どれがハズレか (光文社新書)

「スタバではグランデを買え!」で出会った吉本氏。最近、資産運用に関して勉強しようと考えていた為、本著を手にとった。


読む前に、本著の対象は、投資初心者に対してだと考えていた。だが、投資初心者にとっては、こういった金融広告をみたことがある人いるのだろうかという疑問を感じた。それは、投資のハードルを下げたのは、インターネットだからである。ネット証券の登場が、投資において重要なコストをかなり下げたことにより、投資のハードルを下げた。本著で使用している広告は、銀行などで配られている広告である。その点と書かれた時期を考えると、対象としている人は、投資をしているが、騙されていることに気づいていない人へ向けてである。そういった人への苦言と感じる。


金融商品のそれぞれについて細かく説明しているわけではない(p.373の投資信託の説明はかなりわかりやすかったが)。よって、投資初心者というよりも、それぞれの金融商品があって、どういった特徴をもっているのかということを一度頭にいれた人にとっては、かなり考えさせられる。いかに騙されていたかに気づかされるのかもしれない。資本主義は、「賢くない人から賢い人がお金を取る仕組みである」と誰かが言っていた気がする。これはどんな世界にもあてはまるが、金融の世界ではより当てはまるというイメージを感じる。それは、日本人の国民性である「お金のことをなんやら言うことを善しとしない文化」が、その騙し騙されの連鎖を強化していると感じる。


それはいいとして、いろんな金融商品分散投資して資産運用をしていこうと考えている人は読むべきである。考える種を与えてくれるからである。人はなにかと盲目になりやすい。自分の資産も必ずあがると考えている人ばかりであろう。だが、しっかりと疑いの目をみて自分で考えてそういった考えにいたればいいが、自分で考えることを放棄し、間違った楽観主義によるそういった考え危険である。その後者の人に対して、そう考えればいいのかという考える種を与えてくれる。


あとがきにおいて、金融商品にだまされる人が多発している現代において、規制を強化するのではなく、

消費者ひとりひとりが、判断力を高める以外方法はない。

という言及がかなり印象的である。日本は、規制を強化しているが、こうすることにより世界からはいってくるはずのお金もまったくはいってこなくなる。よって、日本の国力もおちる。そう考えることもできるし、規制によって守ってばかりでは、日本人はよりアホになるだけである。これから金融の勉強はもっと強化していかなければいけない分野だと再確認させられる。