成功の法則(江口克彦)


松下幸之助の思考を江口氏がまとめた中で、「天地自然のなかから真理を見出そうとする」という軸があると言っている。これは、ふたつある中のひとつの軸であり、もう一方の軸も考え深いものである。読んでみると、この軸を感じてくる。そして、本質をみるという松下の単純な視点が、松下の強さの一番の視点であると感じてくる。


人間の本質はなんなのか。そんなことは誰もわからないのかもしれない。わかったとしても変化し続けるものであろう。だが、本著にみられる松下の言動は、その本質とやらを捉えているなと感じる。路頭に迷ったときなどに、どこに戻ればいいのかわからなくなることがある。だが、この著に戻ってくれば、なにか違った世界に自分を移行できるのではないであろうか。違った世界にいかないとしても、光が見えるのではないかと感じさせてくれる。それは、本質をしっかりと捉えているからであろう。


日本が元気がない現代で、みな路頭に迷っている。成功はなんなのか、正解はなんなのか、それをみな探し続けている。だが、目先の利益となるものを正解とし、本質には何があるのかを考えていない。よって、再び迷うことになる。迷いのない人、不安のない人なんているわけがない。だが、その迷いや不安の質が落ちてきているのかもしれない。そこが落ちてきているから、その対にあるものの質も落ちてきてしまっているのかもしれない。