臆病者のための株入門(橘玲)

臆病者のための株入門 (文春新書)

臆病者のための株入門 (文春新書)

株入門ということで、PERがなんたらとか、見慣れた数式が並んでいるのだと予想していた。
だが、その予想は見事に裏切られる。株入門書を何冊か読んだが、それらとは違う。この書は、株式をやる人にとって心構えを鍛える入門書とでも言えばいいのであろうか。株式市場などの市場で戦うには、用語がどうたらというのは、正直どうでもいいのかもしれない。市場原理は、多かれ少なかれ気持ちで動いている。気持ちを用語や数字で表現しようとしてもそこには、疑問がどうしても浮かぶ。何事も後づけの理由であり、なんとなく納得している。そんな不安定な感じが強い。何事もそうなのかもしれないが。だから、芸術とかはなくならない。芸術の基準がオークションの落札価格の値段で評価されたとしても、そのオークション価格は、人がつけた値段である。言葉にできないところを表現するためが言葉であり、企業の言葉にしようもないことを表現するための株価である。人間は、安定と不安定があって人間であると考えると、株にもどっかに歪みがあり、それで儲けることができる。市場は不確実なときもある。インデックスにかなり頭が偏っていた自分を考えさせなおさせる一冊となった。どっかに頭が偏ったらそれが危険信号であることに気づかされる。