私塾のすすめ(斉藤孝/梅田望夫)

私塾のすすめ ─ここから創造が生まれる (ちくま新書)

私塾のすすめ ─ここから創造が生まれる (ちくま新書)

斉藤孝氏は『読書力』から、梅田望夫は『ウェブ進化論』から自分のメンターとなるうる存在である。読書をするようになったのは、斉藤氏が読書の醍醐味を教えてくれたから。ブログをやったり、ネットの世界に対して興味を深めたのは、梅田望夫氏があちら側の世界をみしてくれたから。そして、二人に共通していえることは、いつも背中を押してくれている。そんな二人がコチラで対談したのをみて、いつか二人で一冊だしてほしいと願ったことを思い出した。テーマも私塾ということで、まさに読みたい本が実現したという感動がまずあった。


両者ともに自分のカテゴリをもち、そこから共通点をみつけ広めたり、違いを見つけて考えてみたりとお互いの情熱が相乗効果をもたらしているのを強く感じる。まさに心で読むべき本である。違いとしておもしろいなと感じたのが、教育する人のターゲットの違い。二人が考えている対象は、斉藤氏は広く、梅田氏は狭い。斉藤氏は、大学や講演や本で。梅田氏はブログや本などで。ここで教育をうける立場から考えると、主体性を持つか持たないかというところが肝心なのかなと思う。本は別として、大学や講演では、どうしても受動的。逆にブログなんかは読みたくなければやってこない。そうかんがえると、主体性をもってやってきた人間の方が影響力を受けやすいと考えると、対象が狭い梅田氏の方が影響力としては強いのではないだろうかと思う。


というのも自分の考えるところはどこなのかなと感じさせられたからである。他者に影響を与えるということは非常に魅力的であるが、そのような人になるためにこれからどうしていくべきなのかをもっと考える必要があると個人的には感じた。そう考えたときに、ではどういった魅力で勝負するのか。すなわちどういった人間になるのかという点をもっと考える必要があると感じる。本著の中で梅田氏が村上春樹の志向性にひかれ、いまの梅田氏の生活がそれに近いものになっている。というような自分の憧れる志向性をもっと正直にならなければならない。あの人の境遇がどうであるからそうなったんだとか言う考えをはやく意識的にはずす必要がある。その最初の一歩をだせと感じさせてくれる一冊である。