イスラム金融入門(門倉貴史)

シンプルなタイトルに心を打たれるときがある。


門倉氏といえばかなり有名であるが、僕と門倉氏との出会いがコチラであった為、他の人よりも門倉氏のイメージが少しちがっているのかもしれない。だが、相変わらずの調査ぶりと、一見レポートのように見えるのだがわかりやすく咀嚼し、読みやすい文体になっていて「○○が△%でそれに…」と書かれていてもそんなに苦にならない。


内容としては、イスラム金融の基礎が大方を占めていると思っていたが、ふたを開けてみると実態経済の中のイスラム金融の現状が把握できるよう、BRIC’s、VISTA、MEDUSAを例にして解説している。そして、終わりにつれて現状から将来に向けてイスラム金融がどう世界に対して影響していくのかを論じている。新書なので、そこまで突っ込んでいないのであろうが、どれも知識のたくわえになる。


知識の蓄えといってもイスラム金融の知識の蓄えというよりは、新興国の情報である。イスラム金融という視点から新興国を論じているが、イスラム金融という言葉がなくても、新興国の現状把握にはもってこいである。もしかしたら、新興国向けのなにか本を書きましょうと出版社と話ていたら、新興国の共通点がイスラム金融であり、じゃあ、イスラム金融でいきましょうとなったのではないかと感じさせられる。よって、資産運用で新興国ってどういうものなのであろうという方には、とっつきやすい一冊なのではないかと感じる。


読後の感想としては、世界はフラットになったな。だが、そこをよくみると次にくるものがひしめきあっているのだなと感じさせられた。