日本人が知らなかったETF投資(カン・チュンド)


ブログ「カン・チュンドの投資のゴマはこう開け」でおなじみのETFインデックス投資専門アドバイザーのカン・チュンドさんの一冊。

日本人が知らなかったETF投資

日本人が知らなかったETF投資

この本を読めば、ETFのことについてはもちろんのこと、インデックス投資とはどういったものなのか、どういった精神で資産運用をしていけばいいのかについて多いに学べる。また、巻末の資料も充実していて、いまからETF投資を始めたい人にとってはもってこいの本である。もちろんそれがカンさんの狙いであろう。


資産運用といっても様々な種類がある。商品別に見れば、株、債券、投資信託。ポジション別にみれば、インデックス投資、アクティブ投資。バリュー戦略、アービトラージ戦略などなど。


ここで、資産運用の世界で一番難しいのがどれも正解になりうるし、どれも不正解にもなりうる。たとえば、インデックス投資は、市場の平均点に投資するものであり、学者は過去の成績をみればアクティブ投資よりも成績がよいという。


だが、これも過去のことである。歴史は繰り返されるといわれるが、本当に繰り返されるかわからない。未来のことをわかる人など誰もいない。そんな中で資産運用をしていかなければならない。


そんなときに信じるべきは自分である。そのためには、ファイナンシャル・インテリジェンスを磨いていくしか方法はないと思う。近年では、日本においても「貯蓄から投資へ」という号令のもと少しずつ動きだしてはきたが、昨今の景気減速から投資マネーは市場から離れている。


だが、その中でも自分の考えを信じてバイアンドホールドを続けている人はいる。また、市場の動向をみて自分のポジションを持たない人もいるであろう。10年後にどっちが笑っているかはわからない。だが、自分のポジションを決めてそれを貫いてきた人には何かしらの成果はあるのではないかと思う。


目の前の動きに流されてた人は、そこから何も学ぶことはできないではないかと勝手に思っている。今では、ファイナンシャル・インテリジェンスを磨いていく方法はそこら中に溢れている。日本の金融資産1500兆円をうまく利用して、日本に活力をもたらすべきなんではないかなと思う。


そんなことはどうでもよくて、ETF投資について思うことはある程度資産がたまってからでないと難しいのではないかなと思う点。


たとえば、年収が300万円くらいで、月々に投資にまわせるお金が5万円。世界経済は、世界人口の増加が続く限り右肩あがりだと考え、長期のインデックス投資をしたいと思っている。最近、ドルコスト平均法で毎月積み立てるとリスクが多少軽減できると学んだ人がいる。


そこで、投資信託ETFの購入を考え。長期的に考えると、手数料が安いほうがリターンが良いことももちろん知っている。ネックになるのは信託報酬だと考え、だったら信託報酬が安いと言われているETFで運用しようと考える。


ETFの魅力のひとつは安価な信託報酬である。だが、ETFは市場で売買されている為、通常の株と同じように手数料を支払って購入することになる。


近年の規制緩和によりネット証券の台頭もあり売買手数料はかなり安くなった。それに、日本の市場にも多くのETFが上場している。だが、まだまだ魅力的なETFは少ない。


そうなると海外で買うことになる。商品が充実している米市場から買うとなると、2008年9月13日現在、楽天証券なら1000株まで税込み31.5$、SBI証券なら同じく1000株まで税込み26.25$。

ここで、自分のポートフォリオにはどうしても、新興国の代表的なETFであるEEMをいれようと思う。


9月13日現在、36.54$。最低売買単位が10だから365.4$。SBI証券で買うとして、391.65$。ポートフォリオのバランスからいって、毎月の買いは困難なので、2ヶ月に1回のドルコストによる買いにすることにする。


ここまでくる前に何が言いたいかだいたいわかるかも知れない。要は、この場合手数料が6.7%である。とてもじゃないが、習ったばかりのドルコスト平均法を実践していくにはばかばかしい。


購入数を100にすれば、手数料が0.71%、1000単位にすれば手数料0.076%である。円ドルレートを110円とすると、購入数が100単位の場合には約40万円、1000単位の場合には約400万円。となると上記のケースの場合には、長期的に積立を実践していくとなるとなかなか難しい商品だと感じてしまう。


これに対するひとつの解は、日本市場のETFを充実させるというものである。だが、コツコツ小さな金を積み立てていく人は、資産運用の世界からいったら儲からない人達なのである。


たとえば、信託報酬1%の投資信託があったとすると、1000万円入れてくれている人からは10万円とれる。だが、1万円入れてくれている人からは、100円しかとれない。同じ人だから、かかるコストも同じ。どっちが儲かるかは一目瞭然である。だから小さな声は届かない。


今は自分に投資するのが一番なのかと考えさせられる。