財務3表一体理解法(国貞克則)

決算書がスラスラわかる 財務3表一体理解法 (朝日新書 44)

決算書がスラスラわかる 財務3表一体理解法 (朝日新書 44)

簡単な起業をテーマにしながらBS、PL、CFを同時に理解できる。まさに一石三鳥のようなもの。それだけでなく、後半においては簡単な財務分析手法が説明されている。本著を読み終えて、PLの当期純利益がBSのどこにつながってくるのかをわかっていない人はいないはずだ。

また、それぞれの勘定科目に関してもひとつひとつ丁寧に記載されていて、とにかく感心するのは、「みんながよくわからないところをわかっている」ということ。

みんながといったら御幣があるのかもしれないが、資産の項目の中においても流動資産売掛金のことなんかについてはよくわかっているはず。資産の中で繰延資産がどういったものかとうのは、なかなか財務諸表を読み始めた人間にとってはよくわからないところ。純資産の部においても同じことが言える。純資産の部に○○金などが並んでいて理解しにくいところがある。それを内部留保、外部配当、その他といったようにわかりやすく説明されている。


こういった本に何を求めるかといったらわかりやすさなのである。ひとつの資産を説明するにしても本質的にはみな同じことなのだが、それをわかりやすく説明できるかどうかというところが大きな差となってくる。


わかりやすく理解できたらそれで終わりではない。ここから自分が使えるかどうかが大きな焦点であり、このご時勢に企業の本質的価値を読み取りたいなんて人もいるのではないだろうか。そういった人はすでに、この本では物足りないと考えられるが、それ以外に漠然とビジネスで活かしてみたいとか、投資に活かしてみたいとか考えている人にとっては充分に満足いただける内容となっている。この本は、僕にとってはかなり安い本であった。