一勝九敗(柳井正)

一勝九敗 (新潮文庫)

一勝九敗 (新潮文庫)

先日京浜東北線が人身事故で動かなくなり普段は利用しない品川の本屋で見つけた。前々から読んでみたいとは思っていたが、なぜか読んでいなかった。書店で見つけたときは、文庫になっているではないか。と感激したが、実際、文庫になったのは2006年だった。なんともくやしい。というのも、2006年は自分が就職活動をしていたとき。そんなときにこれを読んでいたらファーストリテイリングも視野にいれていただろうと考えさせられた。そのくらい、自分の中では衝撃的であったし、現在のファーストリテイリングの躍進を納得させられる。


と後悔してもなにもならないので、この本を読んでいま自分に足りないところはなんだと考えたところをまとめておく。赤線を引いた文章を引用すると、

ぼくは社員に「高い志や目標をもて」とよくいう。人は安定を求めるようになるとそこで成長が止まってしまう。高い目標を掲げて、それにむかって実行努力することこそ重要なのだ。目標は低すぎてはいけない。到底無理だと思われる目標でも、綿密に計画をたて、それを髪に書き、実行の足跡とつねに比較し、修正していく。


この文章を読んでいるときに、一番にあたまに浮かんだのが根拠のない自信という言葉。PDCAのサイクルを自分で管理して走らしていく。そのエンジンになるのは、根拠のない自信ではないかということ。常に根拠のない不安を感じていると、このサイクルは走らない。
計画に対して「本当にこの計画でいいのであろうか?」
動きに対して「本当にこの動きでいいのであろうか?」
と考えていると、走っているがアクセルを少ししか踏んでいないので、目標到達までに時間がかかる。逆に根拠のない自信があれば、アクセル全開で目標到達までの時間がはやい。事故るかもしれないが、ここでの事故は次につながる事故である。つまり失敗。というよりも事故を事故だと思わないのが、根拠のない自信なのかもしれない。


5月のこの時期にこんなことを書いていると単に5月病なのではないかと思われるかもしれない。だが、自分に対して疑いがない人なんているのかということ。自分の信じられないとこを治していくところに成長があると思う。
となると自分の信じられないところはどこなのか?
そうか、それが見えてないのか?
計画をたてる前に現状を認識しなければならないということか。


といった具合に勝手な思考を進めてきたが、この思考だと本著のよさを100分の1も伝えきれていない。だが、書かれてから時間はたっているが、何かと考えさせられることが多い。こういう本はまた読み返したくなる。